#ブランドは相手を知ってはじめて作れる
長瀬さんは、au、リプトン、Facebook、インスタグラム、日本ロレアル、LDHと幅広いジャンルでブランドを作る、お客さんに思いとサービスを届ける・伝えるという仕事をされてこられたと思うのですが、「ブランドを作るマーケティング」とはどういうことのことを言うんですか?
坂本
僕の中では「マーケティング」という言葉はあまり好きじゃなくて。日本語で一番近しい言葉は何かって言ったら、僕の中では「商売」なので、マーケティングする人って「マーケター」ではなくて、「商売人」なんだろうなと思っています。
長瀬
「商売人」ですか!
坂本
商売するために必要なことは全部やりますよ、っていうのがマーケターだと思っています。だからモノを売るときに、安くしたら売れるんだったら安くするし、かっこよく見せたら売れるんだったらかっこよくするし。 商売って、相手が何を欲しているかを知って、欲されているものを売ることなので、やっぱり売る相手のことを知ること。マーケットは個人の集合体なので、集合体が何を求めているかを知ることがまず第1で、それに沿ってちゃんと届けてあげるみたいなコミュニケーションをやれる人がマーケターで、僕はその仕事が好きなのかなっていう気がします。
長瀬
マーケティングって僕のイメージだと、お客さんのいる市場を調査して、そこに対する伝え方や打ち手をクリエイティブの人と一緒に考える、っていうようなイメージを持っていたんですけど、それよりかはもっとビジネス全体を構築していくっていうことなんですね。
坂本
そうそう。やっぱりその、いわゆるどうにかする人、だと思うんですよ。どうにかして相手が求めるものを届けてあげるっていう。 なので、それはやっぱり顧客視点だし、顧客中心主義だって言われることもあるし。しかも届けるだけじゃ駄目で、届けた後の感想とか、本当に喜んだのかとか、そこはやっぱ知りたい。なぜかというと商売しているので、人と人との。
長瀬
結果の検証って、次の策を考えるために大事ですもんね。
坂本
また売るために、継続してビジネスをやっていくために、消費者とどういう関係値を築けばいいかとか。どれぐらいの周期でまた必要になるのかを知っていれば、また連絡するし。毎日連絡して欲しい寂しがり屋さんってわかったら、毎日連絡してあげるしとか。 でもそれをやっていたら割に合わないなとか、全て相手が何をどう求めているかを最後まで知って、関係構築の仕方・付き合い方を見つけて、その中で商売できるかできないかを判断するみたいなところまでが、「マーケター」というか「商売人」の仕事なんじゃないかなっていう気がします。
長瀬
#自分の立ち位置を正確に知ろう
一番難しいところ、一番大切なところはどこですか?
坂本
一番難しいところは、対象となる人と、自分の距離感を正しく把握すること。例えば、子持ちのお母さんがターゲットだったとしたら、子持ちのお母さんと僕ってめっちゃ距離があるんですよ。子供を持つ親の気持ちはわかりますよ、僕も子供がいるんで。でもそうじゃなくて、そもそも性別は逆だし、子持ちのお母さんたちがどこに住んでいるかとか、どれぐらい自由になるお金があるかとか、ファッションとか、どれぐらい情報感度がいいかとか、全然違うので。
長瀬
たしかに生活リズムも何から何まで違いますもんね。
坂本
まずその人の立場に立って考えるってよく言うじゃないですか。でもその人の感覚に迄近い立場に立つためには、まず自分がどれぐらい離れているのかを理解して、そこをすり合わせて行く。 マップで言うと、僕はこの辺の位置にいて、彼女はこの辺の位置にいる、っていうところの立ち位置をちゃんと把握した上で物事を考える、みたいなところが一番難しいかなっていう気がします。
長瀬
相手を知ることはもちろんですけど、相手を知るために、自分のこともわかってないと、自分との考え方・感じ方の違いに気づかないっていうことですね。
坂本
そう、まずそうだと思う。自分のことを知っていて、自分の生活・発言・考え方がどういうもので成り立っているかを知った上で、相手のことを考えないと、何か勘違い野郎みたいになっちゃう気がするなと思っていて。 でもそういう意味では、ユニリーバってすごい僕がお世話になった会社が一つあるんですけど。なんで、このラックススーパーリッチとか、モッズヘアとダブとかのシャンプーの担当とか偉い人って、みんなハゲのおっさんなんだろうと思って。
長瀬
あはははは
坂本
お前ら絶対わかんねえだろう、と思いながらも、やっぱりわかるんですよあの人たち。 自分は男だし、ハゲだし、髪の毛1本もないのに、女性用シャンプーの責任者を務めるって、ちょっとおかしいじゃないですか。でも彼らはちゃんと相手のことを考えようとか知ろうとする、と同時に自分のこともわかっていて、その距離もわかっていて、そこをちゃんと埋めていってる人たちだなっていうのが、すごくわかるんですよね。
長瀬
すごい、、、かっこいいですね。
坂本
やっぱりアイディアは、その人たちのことを考えながら、こういう商品でこんなパッケージにしたら喜ぶんじゃないだろうかとか、どうしたらお金を出してくれるだろうか、とかを考えて。あとは、実際に棚に並ぶときの見え方とか、商談に行くときのフレーズだったりとか、営業マンのツールとか、全部見るのがマーケターというか、責任者なので。僕はそういうところでマーケティング、商売の仕方を教わってきたからこそ余計に、相手主義、個人主義、ターゲット主義だったり、自分がもう端から端までちゃんと、全てを把握してビジネスを進めるっていう癖がついてるのかもしれないですね。
長瀬
#他人を知りたければ仲良くなろう
自分と相手を知って、距離を埋めに行くってことですけど、今までご自身とは遠い女性の方がターゲットとなる商材やサービスが多かったと思うんですが、どうやって調査というか、知る努力をしていくのですか。
坂本
そのターゲットと仲良くなることです。
長瀬
おー、なるほどですね。
坂本
もし小学校4年生の女の子をターゲットした商品を担当するとしたら、小学校4年生の女の子と毎日一緒にいると思います。ははは。
長瀬
はははは。
坂本
友達の子供の中に小4の女の子がいたら、一緒に遊ばせてもらったりとか、過ごさせてもらったりとかして。なるだけ、相手のことをいろんな角度から知って、意外と大人びているなとか、あ、こういうときはそういうふうに考えるんだとか、親がいるときといないときと全然違うなとか。そこからこう、僕もその立場に合わせるように、考えられるように。自分の枠を取っ払って、自分も小4の女の子の気持ちになるまで仲良くなるっていうのは大事かなと思いますよ。
長瀬
こういうときに、こういうふうに感じるんだっていうのを、同じ感覚になるまで一緒に時間を過ごす訳ですね。
坂本
そうそう。リプトンを主婦ターゲットとして検討していた時、キッチンはどれぐらいの大きさが平均的なのかとか、キッチンのどういうところに何を入れているっていうのは実はすごく把握していて。引き出しを開けたときにリプトンがあったとして、取り出しにくいなとか、じゃあこのパッケージは駄目だとか。みんな縦に置くのかとか、入れ替えるんだなとか。
長瀬
そんな日々の実際の動きまで想像するんですね。
坂本
生活の中にどうやってそのブランドが溶け込むかというとこまでを見ようと思ったら、相当仲良くならないと、その立場には行けないんですよね。 なので、ターゲットに好かれるってことはすごく大事だし、そうならないと本当に相手の立場に立っていられない。相手の立場に立って、その生活を知った中でブランドの溶け込み方を見ていったら、なんかこう、見えてくるものがやっとある、みたいなとこじゃないかなという風に思います。
長瀬
そういう意味では、もう長瀬さんは女性向けのご商売・コンテンツを色々やられてこられたので、女性の気持ちは完璧に理解されてるっていうことなんですか。
坂本
あーいやいや全然わかんない。女性は難しくて、もう5分後違うこと考えてますんで、本当に。でもそういうこともわかっている。女性の心模様は天気よりも難しいとか色々言うじゃないすか。でもそういうことが本当、肌でわかっているってことは大事かなと思います。 どんな仕事もそうだと思うんですけど、やっぱデスク上でわかったつもりでいるおっさんたちと、本当に一緒に女性たちと過ごして理解している人とは全然違うんじゃないかなっていう気はしますね。
長瀬
#人生のギフト
そういう意味では、SNSが発達した現代の女性って、特に美と健康について強い興味を持っているのかなって、勝手に思っているんですけど、どうなんでしょうか。
坂本
美と健康はやっぱ面白いと思います。寿命とかいつか死ぬとか、老いとかって、逆に人生を面白くするプレゼントのようなものな気がするんですよ。
長瀬
老いがプレゼントですか!
坂本
もしこれが全然老いないとすれば、多分色々なイベントを気にしなくなるんですよね。やっぱり人には旬があって、自分の中で20歳30歳が旬だと思ってれば、そこで頑張って仕事したり、婚活したりとかって。なんかその、死があるから、老いがあるから、ピークがあるからこそ、人生を面白くしてくれているんじゃないかっていうのがあって。
長瀬
たしかに人生のフェーズってありますもんね。
坂本
それがあるからこそ、もう美と健康にはお金はあんまりいとわないというか。少しでも良いものを買いたいと思うと高いものを買い始めたりとかっていう、心理的な部分も含めて、面白いマーケットだなというのは、個人的にすごく思っています。
長瀬
#あるようでない男性の美
最近、男性も化粧品使うどころか、美容クリニックに通うようになったり、フィルターかけられて写真撮るようになっていたり、女性以上に男性目線でもかなり美と健康に対しての意識が変わってきていますよね。
坂本
うん。でも、日本では美って女性が始めて、女性のもので定義されていたからか、男性の美も女性寄りになるのが不思議だなと思っています。
長瀬
どういうことでしょうか?
坂本
男性は男性の美があっていいのに、美容というと男性も肌を白くしなきゃいけないとか、細くないといけないとか。ちょっと女性っぽい、綺麗、美しい顔でないといけないかっていうのは、それは女性の美がそう言われていただけなのに、そっちに寄せてしまうのがすごく面白くて。それはアニメだったりとか文化の部分あるかもしれない。なんかちょっと女っぽい男性。まあ目鼻立ちが綺麗な男性。まああれですよね、宝塚みたいな感じですね。
長瀬
たしかに宝塚はそうですよね、まさに美しい男性というか。
坂本
確かにあの人たちは、振る舞いもかっこいいし、見た目もかっこいいし、手足も長いし。でも女性の美に引っ張られているじゃないですか。男性の美をちゃんと定義して、これが男の美しさだっていうのを定義している人はいないので。
長瀬
たしかに。
坂本
かっこいい男はかっこいいじゃないすか。でもそれを美しいとは言わないじゃないですか。例えば、ディカプリオをかっこいいよねって言うけど、美しいとはあまり言わないじゃないですか。ジャスティン・ビーバーもかっこいいじゃないですか。でも美しいとはあまり言わないじゃないですか。
長瀬
かっこいいと美男子はちょっと違いますね。
坂本
マットが求めている美しさって、女性に寄せようとしているんじゃないですか。 男性の美って誰も定義しないから、僕はそこをすごい不思議だなっていつも思っています。
長瀬
確かに三国志の関羽みたいな。髭がめっちゃ長い人が美しいって、昔の中国では定義されていたらしいですもんね。
坂本
それ、いいじゃないですか。そういうのがないのが不思議。 僕も実は美しいって言われたいんですけど、美しくしようと思えば女性に寄せた方が言われやすいのはわかっているんです。肌綺麗だねとか、眉整っていますねとか、なんなら整形して女性っぽくするとか。
長瀬
最近多いですよね。
坂本
でもそれって、僕が求めている美しさじゃなくて。なんか男として美しいって定義を、誰かわかりやすい人がしないといけないんじゃないかなという。
長瀬
確かに。ワイルド系とか、男ウケするよねみたいな、何となくの言葉で終わっちゃっているところありますよね。
坂本
あるよね。だからそこは新しい市場が僕が生まれるんじゃないかなと思っています。なぜかっていうと、ダビデ像とか、美しい男はいるじゃないですか。
長瀬
たしかにダビデ像は美しいですね。
坂本
でもダビデ像って、筋肉があって、目鼻立ち高くて、女の人に絶対見えないじゃないですか。やっぱり、女性とは違うところに男の美しさってあると思うんで、それをちゃんと男が気づいて、1人1人が作り上げることが起きると良いなと。
長瀬
そういう意味では、長瀬さんが携われたLDHグループなんかは、どっちかというと男の美じゃないですか。
坂本
そうそう。エリーとかナオキとか。やっぱりかっこいいけど、女性よりじゃない。岩ちゃんが若干ちょっと女性っぽいかな、でも彼、めちゃめちゃ男っぽいからね。ダンスも含めて。
長瀬
はい。岩ちゃんはCLAMPですもんね。怒りの感情表現ですもんね。
坂本
そうそうLDHのメンバーはわかりやすいかもね。
長瀬
LDHの皆さんは、体系とか筋肉とか外見もそうですけど、レモンサワーしか飲まないとか、内面を気にされているっていうのは本当なんですか?
坂本
本当です。やっぱり健康あってこその全てだと思うので。彼らはいつもハードワークなので、それを癒すためにもちょっとクエン酸が入っていたり、ビタミンCが入っていたり、どうせ飲むならそっちを飲みましょう、みたいなところはあるのかもね。
長瀬
#ビジネスのマネジメントは自身の健康マネジメントから
長瀬さんもずっとハードワークだったと思うんですけど、体を壊さずに元気にやってこられて、今もとんでもなく若くい続けていらっしゃいますが、気にかけてることってありますか?
坂本
若い頃、20代から20代後半ぐらいまではもちろん若さで何とかなってきた時代もあったけど、本当に運が良かったというか。やっぱり外資系の管理職、マネージャーになったときに、やっぱり一番大事なのは健康管理だってすごい言われていたので。その頃から上司の背中を見ながらじゃないですけど、健康に気を使うようになったり、朝にトレーニングしたりとかしました。よくいる外資系エリートサラリーマン的なやつあるじゃないですか。朝は肉食べたりとか、そういうのを見よう見まねでやったりとか、朝ジョギングしたりしていました。
長瀬
外資系ってそういうイメージあります!会社や上司から言われるんですか?
坂本
言われるっていうか、憧れの先輩とか、かっこいい人はみんなそういうことやっていたので。でもちゃんと自分の体を管理しなければ、確かに仕事管理できないよな、みたいな。 やっぱり外資系、まあユニリーバとか海外から来て働いている人たちとか、エキスパートとかって、極端に太っている人を見たことがない。マネージャー職の偉い人って、みんなかっこいい。シュッとして、スーツ着ていて。
長瀬
本当にそういうイメージあります!
坂本
だからそれを見ただけでも、ちゃんと健康管理してんだなとか、メンタルの維持をちゃんとしているなとか。 やっぱり体が資本じゃないけど、しっかりとメンテナンスして管理していくっていうことを、叩き込まれたというか、意識するようになったっていうのが、よかったのかなと思います。
長瀬
ハードワークしながらも、日々の食事と運動と睡眠に気を使いながら仕事をされていたということですね。
坂本
そうですね。あともう一つ、もしかしたら他と違うなっていうポイントがあるとすれば、体や心に負ったダメージの回復の仕方をよくわかっている気がする。
長瀬
ちゃんと休むとか、ちゃんと食べるとかってことですか。
坂本
何かモヤモヤしているときはこういう人に話に行くとか。外資系って何かいるんですよ、いつもオフィスに、精神科医みたいなやつが。
長瀬
そうなんですね!
坂本
そうそう気軽に話に行けたりとか、悩みを話せる状況・環境作りがちゃんとされているのが外資系の会社。意外とすごく良かったです。
長瀬
#環境がヒトをツクル
海外と日本の健康への意識の違いってなぜ起きてしまうのでしょうか?
坂本
最近いろんな人に話を聞いて確信したんですけど、日本って医療制度が良すぎるんだと思います。 海外とか、まあアメリカはね、保険料がすごく高かったり、健康保険の問題っていっぱいあるので、保険に頼らずに健康でいなきゃって思うんですよね。病院行くのでさえ結構大変。だから病院に行かないようにしようとするのがあって、そうするとそれぞれ1人1人が自分の健康維持の方法を追求するっていうのがある。
長瀬
確かに外資系って、言い方失礼ですけど、パフォーマンス悪いとすぐにクビになっちゃうから、常に最大限のパフォーマンスを出せる状態にいるために、元気でいようとかっていうイメージはありますよね。
坂本
そうそう。薬に頼れない、病院に頼れない、会社にも頼れない、ってなると自分で健康管理をしっかりしなきゃ、仕事のパフォーマンス上げなきゃ、常に元気でいなきゃ、みたいな考えが強いんじゃないかなって思う。
長瀬
社会構造上、意識が高くなるわけですね。
坂本
もう1個あるなと思うのは、これは自分がアメリカの中学高校にいたからわかるんですけど、その時から筋トレとかめっちゃしてた。だから鍛えるっていう時点で健康意識高いけど、その頃からプロテイン飲んだりとかし始めてる。 だから全然、自分に対する健康管理とか、トレーニングっていう意識が全然違うんじゃないかなという気がします。
長瀬
#knowyourself
最後に、Nutritionの記事を見ていただく方々に一番伝えたいことはございますか?
坂本
そうですね、やっぱり僕のインタビューをするまでに、何人かのインタビューをさせてもらって、そこでしみじみと感じたのが、まず最初は自分のことを知ることだなと。 自分の体や健康の維持に必要なものは何なのかを知るために、自分のことを知りましょう、というところから始めるといいんじゃないかなと思っています。
長瀬
本当にその通りですね。本日はありがとうございました。
坂本