こんにちは。美容皮膚科医 / 抗加齢学会専門医 / もぐもぐDrの大久保里紗です。
今日はマグロについてのお話です。
みんなが大好きなマグロは、食べすぎ注意かもしれません。
どういうことでしょう?
普段の採血では血糖値や肝臓の数値、コレステロールの数値など測れるので、検診の時には糖質や脂質、アルコールなどを控えようと努力されている方が多いと思いますが、実は糖質・脂質以外にも注意をした方がいい成分があることを皆さんはご存知でしょうか?
血液中には、糖質・脂質以外に有害重金属というものが含まれています。これらは大気中や水道水、食品添加物など様々なものに含まれており、皆さんが知らず知らずの間に体に蓄積されているのです。
有害重金属が溜まってくると自己免疫性疾患、慢性疲労、認知症などになると言われており最近はアトピー性皮膚炎と関係があることもわかってきています。
私が勤務しているクリニックでは、有害重金属を測定できる機械が置かれており、毎日 患者さんの有害重金属量を測定していますが、検査結果によるとほとんどの患者様が有害重金属を多く蓄積してしまっています。
そしてみんなが大好きなマグロには、有害重金属の中でもメチル水銀という物質が多く含まれているのです!!マグロだけではなく、多くの魚にメチル水銀は含まれています。
農林水産省の発表によると、日本人の水銀の平均的な摂取量は、調査の結果、ヒトの体重50キロク゛ラム、総水銀で8.2マイクログラム(1999~2008年の平均)で、魚介類からはその88パーセントを摂取しているそうです。
メチル水銀が溜まると、特に糖尿病、頭痛、筋肉痛、抜け毛などが起こると言われています。また、妊娠女性に関しては特に注意で、メチル水銀は胎盤を介して容易に胎児に移行すると言われており、特にメチル水銀に最も弱い臓器である中枢神経系に影響が及ぶとの報告もあります。
診察で、検査結果をお伝えするときに「普段のご飯は何を食べていますか?」「魚は好きですか?」とお尋ねするのですが、魚が好きな方はやはりメチル水銀が上がっており、魚が嫌いな方はメチル水銀があまり蓄積されていない傾向にあります。
では魚が大好きな方は、魚を我慢しなければいけないのでしょうか‥?
ご安心ください、もちろん魚は食べられますよ。
水銀を多く含む魚は、食物連鎖の上位にいる魚なんです。メチル水銀は脂に溶けやすく濃縮しやすいという性質があり、小さい魚が大きな魚に食べられる食物連鎖を繰り返していくことで水銀の濃度が徐々に高まっていきます。イワシ、アジ等のいわゆる青魚は食物連鎖の下位に位置しているので、メチル水銀が少ないといわれています。
またこれらの青魚には、良質な脂肪酸であるオメガ-3が多量に含まれており、抗炎症作用や血圧を下げる作用が期待できます。積極的に食べていきたいですね。
また、マグロも全く食べてはいけないわけではなく、頻度を注意して食べることが大切です。魚の種類や量に気を付けながら、魚を食べていきましょう。
※現在厚生労働省が実施している調査によれば、平均的な日本人の水銀摂取量は健康への影響が懸念されるようなレベルではありません。特に水銀含有量の高い魚介類を偏って多量に食べることを避けて水銀摂取量を減らしつつ、魚食のメリットを活かしていくことが望まれます。
大久保 理沙
広島大学医学部医学科卒業。広島大学病院及び関連病院勤務を経て、エルムクリニックに入職。2021年7月からはエルムクリニック表参道院の院長に就任。2023年7月からホストのRolandが経営するReal Beauty Clinicにて勤務。2024年6月からはエステと美容皮膚科、予防内科が併設されているMetaBio Clinic Ginzaで診療を行っている。
所属学会等
日本美容皮膚科学会/日本医師会認定産業医/日本抗加齢学会専門医/予防医療研究協会 参与/ボトックスビスタ認定医/ジュビダームビスタ認定医