こんにちは。美容皮膚科医 / 抗加齢学会専門医 / もぐもぐDrの大久保里紗です。
今日はトマトについてお話しします。
皆さんはトマトが好きですか?
私はテレビを見るときのおともにしたり、ホテルバイキングに行くと20個くらいとっちゃう(ちゃんと人の分は残して、配慮していますよ。)くらい大好きです。
トマトには、リコピンという成分が含まれています。
抗酸化作用があり、シミやしわの予防、動脈硬化や心筋梗塞の予防、体脂肪の増加防止など健康維持に幅広く役立つことが知られています。
リコピンすごい!ということで、多くのリコピンが入っているサプリメントがつくられたのですが、もしかするとリコピンサプリだけでは、上記の効果が十分得られないかもしれません。
トマトにはビタミンC、ビタミンA、食物繊維、カリウムが豊富に含まれており、その他にもさまざまな栄養素(βカロテンやルテインなど)が微量含まれています。
様々な栄養素が入っているため、いろんな効果が期待できます。
それゆえ、トマトの方があらゆる栄養素を摂取できるので、リコピン単体のサプリメントよりも効果があるのでは?という意見もあるのです。
「トマトとリコピンサプリメント、どちらの摂取が有効的か?」は昔から存在する問題であり、調べてみると多くの論文が存在します。
トマト単体の方が成績がよかったり、トマトとサプリメントで効果が変わらなかったりと、論文によりその結果はまちまちです。
「Advances in Nutrition」という雑誌に2014年9月号に発表された論文では、
心血管疾患のリスク要因である、酸化ストレス・炎症・内皮機能・血圧・脂質に関して、トマトvsリコピンの研究結果がまとめられています。
結果は、毎日リコピンサプリメントを服用するよりも、トマト製品を摂取することを推奨する結果が多かったようです。
しかし結果に一貫性が認められないものが多く、最終的にトマトがいい、リコピンのサプリメントの方がいいという決着はついていません。
ただ、トマト・リコピンサプリメントのどちらの摂取でも、炎症が下がった症例が多かったので、リコピンは今後も注目される成分であることは間違いなさそうです。
今回は、リコピンに関してだけの考察ですが、世の中にはもっと多くの必要な栄養素が存在しています。リコピンだけを取れば血圧が下がる、心臓病を予防できるということはないのです。全ての栄養素をサプリメントだけで取ろうとすると、100錠を超えるサプリメントを飲むことになってしまいます。
病気を防ぐためには、幅広い栄養素を摂取する必要があるので、基本的には食事で様々な栄養素を摂取し、食事では足りないところを、サプリメントで補充してあげるとよさそうですね。
大久保 理沙
広島大学医学部医学科卒業。広島大学病院及び関連病院勤務を経て、エルムクリニックに入職。2021年7月からはエルムクリニック表参道院の院長に就任。2023年7月からホストのRolandが経営するReal Beauty Clinicにて勤務。2024年6月からはエステと美容皮膚科、予防内科が併設されているMetaBio Clinic Ginzaで診療を行っている。
所属学会等
日本美容皮膚科学会/日本医師会認定産業医/日本抗加齢学会専門医/予防医療研究協会 参与/ボトックスビスタ認定医/ジュビダームビスタ認定医